とにかく「長いものには巻かれろ」式の非合理性が何より嫌いらしい。「和をもって尊しとせず」 生田正治(六七)がこう言い放ったのは、商船三井社長だった四年前の九八年十一月。社内向けに檄を飛ばしたという話ならまだしも、これが半年後に控えていたナビックスラインとの合併方針の一項目だったから、周囲は度肝を抜かれた。 厳しい業界環境からすれば「社内融和に無駄な時間を費やしている余裕はない」というのが生田の真意だったろうが、社長の過激発言に慣れっこになっていた商船三井社内はともかく、事実上吸収合併される立場のナビックス社員・幹部にとっては不安の火に油を注がれた感があったに違いない。

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