印パ関係のカギを握る「イラク後」の新たな変数

執筆者: 2003年10月号
エリア: 中東 アジア

[ニューデリー発]八月二十五日、インド西部ムンバイ(旧ボンベイ)で連続爆破テロが発生し五十人以上が死亡した。テロ続発の懸念から国内主要都市の経済、交通、治安の混乱は数日にわたって続いた。ムンバイ警察は九月一日に実行犯の容疑者グループを逮捕したが、印パ国境で活動を続けるイスラム過激派の関与が濃厚となり、イスラム国家パキスタンとの関係緊迫化を懸念する声も出ている。 今年四月、かねてパキスタン政府の越境テロリスト支援を批判してきたインドのバジパイ首相は、唐突とも感じられるパキスタンとの対話姿勢を掲げた。パキスタン側もそれに応じ、両国間には約一年半ぶりの緊張緩和機運が生まれていた。それから四カ月。貿易関係者や財界代表者間の相互交流も始まった矢先のムンバイ・テロはインド国内の反イスラム感情を煽り、対パキスタン強硬論が再燃しかねない、という論理だ。

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