堕ちゆく世界の迷走 (8)

「保護国化」される日本

執筆者:青柳尚志 2011年4月27日
エリア: アジア

・BRICsだったはずの有力新興国の集まりが、BRICSと表示されるようになった。中国で開かれた第3回BRICS首脳会議から、南アフリカの正式参加が決まったのだ。「新興国からの参加要請は引きも切らない」と中国外交部は胸を張る。
・5月にフランスで開かれる主要8カ国(G8)のサミット(首脳会議)では、原子力の安全性が主要議題となる。11月に開かれる20カ国・地域(G20)サミットでもこの問題を協議し、年内には原子力に関する国際基準を策定する。フランスのサルコジ大統領は主導権をとろうと狙う。
・リビアをめぐる情勢が混とんとしている。北大西洋条約機構(NATO)軍によるカダフィ政権側への空爆は続く一方、内戦は一進一退の様相を呈している。オバマ米政権は深入りを警戒しているが、マケイン上院議員はリビア入りして気を吐く。シリアやイエメンなどの先行きも分からない。
・財政危機の続くポルトガル向けに、欧州連合(EU)は金融支援を打ち出したものの、依然綱渡りが続いている。片やインフレ懸念を理由に、欧州中央銀行(ECB)はリーマン・ショック後初の利上げを実施した。これはブレーキとアクセルを同時に踏むようなものではないのか。
・米国では財政再建をめぐる与野党の協議が暗礁に乗り上げ、5月にも連邦政府の債務上限を実際の借金が突破しかねない情勢となっている。そうなると、政府のシャットダウン(窓口閉鎖)だ。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は米国債の格付け見通しをネガティブ(弱含み)とした。

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