突如浮上した「西武HD上場」の笑止千万

執筆者:安西巧 2012年3月28日
タグ: 日本
跡地の再開発計画が発表された旧赤坂プリンスホテル (C)PANA
跡地の再開発計画が発表された旧赤坂プリンスホテル (C)PANA

「西武ホールディングス、年内再上場検討」(産経新聞) 「西武HD、秋にも再上場 ホテル事業回復、経営改善」(朝日新聞)  3月9日、朝刊各紙に西武ホールディングス(HD)の再上場(注:西武鉄道が2004年に株主名義偽装問題で上場廃止になったため「再上場」と各紙は記述しているが、西武HDは06年にグループ再編によって新たに発足した会社なので厳密には初上場)に関する記事が一斉に掲載された。出所は共同通信が前夜配信した独自ネタの特報記事である。  それによると、西武HDは年内に株式を東京証券取引所に「再上場」する調整に入り、幹事証券会社の選定作業などに近く着手する。西武鉄道の上場廃止から7年が経過し、業績も堅調に推移している。経営再建にメドをつけ、不正行為を引き起こす要因となった創業家支配からの脱却をアピールする……。ざっと、こんな内容である(西武HDは記事が一斉に掲載された9日に「本日、年内あるいは秋にも西武ホールディングスが株式を上場するとの内容で報道がございましたが、時期等については未定でございます」とのコメントを自社サイトに掲載している)。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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