西武vs.サーベラス「不毛の内紛」の実情

執筆者:安西巧 2013年4月3日
タグ: 安倍晋三 日本
エリア: アジア
 3月26日、記者会見する西武HDの後藤社長 (C)時事
3月26日、記者会見する西武HDの後藤社長 (C)時事

 西武ホールディングス(HD)の上場を巡る同社経営陣と筆頭株主の米投資会社サーベラスとの対立がエスカレートしている。西武HD社長の後藤高志(64)が3月26日に記者会見を開き、サーベラスが12日に開始した株式公開買い付け(TOB)を「上場を阻害する」と強く非難したのに対し、サーベラス日本法人社長の鈴木喜輝(50)は翌27日の会見で「現経営陣のコーポレート・ガバナンス(企業統治)体制に問題がある」と応酬。4月23日が期限のTOBは目標水準が低い(現行32.44%→最大目標36.44%)こともあって達成の可能性が高く、6月末の株主総会では委任状争奪戦(プロキシファイト)にもつれ込むことも予想される。双方の感情のもつれから始まったこの内輪揉め。透けて見えるのは「再建の失敗」を認めたくない後藤と「投資の失敗」を受け入れたくないサーベラスの醜悪な責任の押し付け合いの構図である。

カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f