「中国の視点」から考えるTPP の政治経済学

執筆者:武内宏樹 2014年8月18日
エリア: アジア

 環太平洋経済連携協定(Trans-Pacific Partnership: TPP)の議論をしていると必ず話題になるのが、中国を交渉に含めるかどうかという問題である。この問題は、前回(7月23日付「アベノミクスと日本の『宿題』-続・TPP の政治経済学」http://www.fsight.jp/28148)紹介したTPP に関する日米協会ダラス・フォートワース支部主催のシンポジウムでも話題になった。基調講演のなかでウェンディ・カトラー米国通商代表部代表補は、中国がTPP に高い関心をもっていることに触れ、短期的には米中2国間は包括的投資条約の締結に専心して、TPP は現行の12カ国での交渉妥結を目指しながら、将来的には中国をTPP のメンバーに加えることに含みをもたせた。そこで、TPP をめぐる議論の締めくくりとして、中国の視点から見たこの問題の政治経済学を考えてみたい。

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執筆者プロフィール
武内宏樹(たけうちひろき) サザンメソジスト大学(SMU)政治学部准教授、同大学タワーセンター政治学研究所サン・アンド・スター日本・東アジアプログラム部長。1973年生れ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程修了、博士(政治学)。UCLA 政治学部講師、スタンフォード大学公共政策プログラム講師を経て、2008年よりSMUアシスタント・プロフェッサーを務め、2014年より現職。著書に『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、Tax Reform in Rural China: Revenue, Resistance, Authoritarian Rule (ケンブリッジ大学出版会、2014年)。ほかに、International Relations of the Asia-Pacific、Japanese Journal of Political Science、Journal of Chinese Political Science、Journal of Contemporary China、Journal of East Asian Studies、Modern Chinaなどに英語論文を掲載。専門は、中国政治、日本政治、東アジアの国際関係及び政治経済学。
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