「英国大変動時代」の幕開けか「スコットランド」独立騒動

執筆者:国末憲人 2014年9月24日
エリア: ヨーロッパ
 スコットランド自治政府のサモンド首相。彼なくして独立運動はここまでこれなかった (C)EPA=時事
スコットランド自治政府のサモンド首相。彼なくして独立運動はここまでこれなかった (C)EPA=時事

 英国で「離婚」と言われると、私たちの世代はどうしても、チャールズ皇太子とダイアナ妃を思い浮かべてしまう。「独立は、一時的な別居ではない。痛みを伴う離婚だ」。スコットランドの住民投票の直前、キャメロン英首相が感極まる声でこう呼びかけるのを聞いて、パパラッチが群がった1996年「世紀の離婚劇」の場面が脳裏によみがえった。

 かの2人の場合、離婚した後もゴシップの対象となり続け、翌年のダイアナ妃の事故死を越えて余韻は今でも残っている。英国とスコットランドの離婚劇の場合、思いとどまって関係を続けることになったものの、やはり今後も長く尾を引くに違いない。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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