強面と和解を使い分け ロシアの領土問題「処理術」

執筆者:Foresight 2007年5月号
エリア: ヨーロッパ

 ロシアが三月末、バルト三国のラトビアと懸案の国境画定条約に調印したことが、日露間の北方領土問題にマイナス影響を与えかねない。ラトビア側が「固有の領土」を放棄し、領土返還要求を取り下げたためだ。 ラトビアは第二次世界大戦中の一九四〇年、旧ソ連に併合された際、東部国境地帯の千六百平方キロを旧ロシア共和国に割譲。ラトビア側は二〇〇五年、ロシアのプスコフ州プイタロボ地区となった同地域を「固有の領土」として返還要求したが、プーチン大統領は「領土の代わりに死んだロバの耳をくれてやる」と猛反発した。 しかし、ラトビアが加盟する欧州連合(EU)はロシアとの早期国境画定を要求。ラトビア側は泣く泣く要求を取り下げた。エストニアも、首都タリンの旧ソ連兵記念像の撤去問題が決着すれば、領土要求を放棄して国境画定に応じる見込みだ。

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