金正恩(キム・ジョンウン)政権の路線が揺れている。金正恩第1書記は今年元日に発表した「新年の辞」では金正日(キム・ジョンイル)総書記の「遺訓」などにはまったく言及しなかった。昨年12月の金正日総書記の死亡3周年で「3年服喪」を終え、今年から「独り立ち」路線に向かうことを示すものとみられた。
しかし、金正恩政権は2月に入ると党政治局拡大会議(2月18日)や党中央軍事委員会拡大会議(2月23日に報じられたが開催日は不明)という党の重要会議を相次いで開催し、そこでは「金正日総書記の遺訓をわが党と革命の永遠なる指導指針ととらえ最後まで貫徹すること」(党政治局拡大会議)や「金正日同志の遺訓を貫徹するための今後の軍建設方向を明確に規定」(党中央軍事委員会拡大会議)が討議され、金正恩政権の基本路線を「遺訓貫徹」へ引き戻した。
ところが、その後、金正恩政権の路線が再び「独り立ち」路線へと回帰し始めている。政権の基本路線の不安定さを示すものだ。

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