深まる「ロシア経済危機」で注目の安倍首相「外交調整力」

 NY原油市場が1バレル=26ドル台と12年ぶりの安値を付けた1月下旬、ロシアのグレフ貯蓄銀行総裁(元経済発展相)は「石油の時代は終わった。ロシアは競争に敗れ、負け組に属する」と述べた。クドリン元財務相は「原油価格は1バレル=16ドルまで下落する可能性がある。通貨ルーブルは暴落し、インフレが昂進する」と警告した。英紙フィナンシャル・タイムズ(1月25日)は、「プーチン政権の最初の2期で自由化推進派だった2人の元閣僚のどちらかを首相に起用することが必要だ」と書いたが、秋に下院選を控えるロシアは「内政の季節」に入りつつある。ロシアの経済苦境は、日露外交にも影響しそうだ。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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