インテリジェンス・ナウ

「海中ドローン」が南シナ海の新主役に:中国の「第2撃能力」めぐり激化する情報戦

執筆者:春名幹男 2016年5月25日
エリア: 北米 アジア

 緊張高まる南シナ海で、フィリピンとの合同演習「バリカタン」を行った米海軍。インド訪問後、この演習を視察したカーター米国防長官は4月15日、フィリピンのガズミン国防相とともに原子力空母ジョン・ステニスに乗り込み、米兵らの前で演説した。
「米国防総省は次の段階のリバランス工作を遂行する」
「次の段階」とは一体何か。米国はアジアに安全保障の軸足を移す「リバランス(再均衡)政策」を進めてきたが、次の段階では、果たしてどのような工作を行うのか。
 長官はさらに指摘した。第1にベストの人材、第2にステニスのようなベストの艦艇をアジア太平洋に持ち込む。そして「カギとなる能力への新規投資」「フィリピンのような長年にわたる同盟国との関係強化、インドのような新しいパートナーとの関係深化」を掲げた。
 南シナ海で、中国の軍事力強化に対抗するため、米国が新たにインドを協力国とする戦略に乗り出した動機も気になる。だが本稿では、「カギとなる能力」にテーマを絞って話を進めていきたい。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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