「頼清徳」という「最強カード」を切った蔡英文の「苦境」

執筆者:野嶋剛 2017年9月7日
タグ: 中国 台湾 日本
エリア: アジア
頼清徳氏の行政院長就任を報じる台湾の新聞各紙 (筆者提供)

 

 台湾政治に、久々の激震が走った。台湾で「最も次の総統に近い男」とみられてきた頼清徳・台南市長が行政院長(首相に相当)に任命されることになった。現職の林全氏は退任する。この人事は、政権運営の拙さから支持率が3割前後に低迷する蔡英文・民進党政権にとって、大衆人気が高い頼氏を救世主としたい狙いが大きい。次の総統選挙までの中間選挙にあたる、2018年11月の地方選挙に向けた「選挙内閣」の性格も濃厚だ。

「頼神」と呼ばれる男

 頼氏は、現在57歳で、台南市長の2期目を務めていたが、任期半ばで市長を辞して台北に乗り込む形だ。「頼神」と異名をとるほど何をやってもうまくやってのけ、ハンサムな容貌と演説のうまさなどカリスマ性は十分。本来、巡り合わせさえ良かったら、蔡英文総統の代わりに2016年の選挙で総統になっていてもおかしくない人材だった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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