風の向こう側 (25)

コースも選手もルールさえも「紙一重」だった「全米オープン」

執筆者:舩越園子 2018年6月19日
エリア: 北米 アジア
29年ぶり史上7人目の「偉業」とそれを成し遂げたケプカの爽やかさが救い(筆者撮影、以下同)

 

「成功するか、失敗するか。その差はファインラインだ」

 全米オープンを主催するUSGA(全米ゴルフ協会)は、118回目の開催となった今年の開幕前から、そう言っていた。

「ファインライン」とは、直訳すれば「細い線」。ほんのわずかな差、紙一重の差のことである。

 ニューヨーク州ロングアイランドの「シネコックヒルズGC」が全米オープンの舞台になったのは、今年が5回目。前回開催の2004年大会では、予想外にコースが干上がり、最終日のプレー途中でグリーンに水を撒くという前代未聞の事態となり、「大失敗の全米オープン」のレッテルを貼られた。

カテゴリ: スポーツ
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執筆者プロフィール
舩越園子(ふなこしそのこ) ゴルフジャーナリスト、2019年4月より武蔵丘短期大学客員教授。1993年に渡米し、米ツアー選手や関係者たちと直に接しながらの取材を重ねてきた唯一の日本人ゴルフジャーナリスト。長年の取材実績と独特の表現力で、ユニークなアングルから米国ゴルフの本質を語る。ツアー選手たちからの信頼も厚く、人間模様や心情から選手像を浮かび上がらせる人物の取材、独特の表現方法に定評がある。『 がんと命とセックスと医者』(幻冬舎ルネッサンス)、『タイガー・ウッズの不可能を可能にする「5ステップ・ドリル.』(講談社)、『転身!―デパガからゴルフジャーナリストへ』(文芸社)、『ペイン!―20世紀最後のプロゴルファー』(ゴルフダイジェスト社)、『ザ・タイガーマジック』(同)、『ザ タイガー・ウッズ ウェイ』(同)など著書多数。最新刊に『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)がある。
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