「名刹」が泣くタイ・カンボジアの泥仕合

執筆者:Foresight 2008年9月号
タグ: タイ
エリア: アジア

 世界遺産登録の前段となる世界遺産リストへの登録が七月に決まったタイ・カンボジア国境に位置する九世紀創建の山岳寺院「プレアビヒア(タイ語名・カオプラウィハン)」。その帰属を巡り、タイとカンボジアの間で緊張が高まる中、カンボジアは八月はじめ、「プレアビヒアの西百三十キロの国境地帯にあるタームアントム寺院遺跡にカンボジア兵が入るのをタイ軍に阻止された」と抗議。タイ側は「遺跡はタイ領だ」と反論、国境付近で両国軍兵士あわせて数千人が睨み合う状態が続いている。 そもそも国境が画定していない同遺跡周辺でカンボジアがタイの同意なしに「カンボジアの遺跡」として世界遺産への登録を目指したことが今回の緊張の原因。一度はタイ側が折れて登録申請に同意したものの、国内世論の大反発を受けて、撤回。その間に、カンボジアは遺跡に兵士を配置して「実効支配」し、登録リスト記載を成功させた。

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