「ベトナム独立戦」を支えた旧日本軍「秘密戦士」の生涯(下)2つの受勲と悲劇

執筆者:吉村剛史 2020年8月15日
タグ: 日本
エリア: アジア
1996年にベトナム再訪を果たした谷本氏

 

 元陸軍少尉、谷本喜久男氏(1922~2001)はベトナムでの長年の野戦暮らしでマラリアなどに罹患し、その発症にも苦しんだという。

 しかし、フランスの撤退を決定づけた1954年の「ディエンビエンフーの戦い」に勝利した後、帰国の道が開かれることになった。

 この時期、日本、中国、ベトナムの赤十字社が協議、連携し、同年10月末には70人余の残留日本兵らがトラック、鉄道など陸路で約1カ月かけて中国・天津に移動。11月末には第9次引き揚げ船「興安丸」に乗って舞鶴港から本土に上陸し、帰郷を果たしている。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
吉村剛史(よしむらたけし) 日本大学法学部卒後、1990年、産経新聞社に入社。阪神支局を初任地に、大阪、東京両本社社会部で事件、行政、皇室などを担当。夕刊フジ関西総局担当時の2006年~2007年、台湾大学に社費留学。2011年、東京本社外信部を経て同年6月から、2014年5月まで台北支局長。帰任後、日本大学大学院総合社会情報研究科博士課程前期を修了。修士(国際情報)。岡山支局長、広島総局長、編集委員などを経て2019年末に退職。以後フリーに。 主に在日外国人社会や中国、台湾問題などをテーマに取材。著書に『アジア血風録 』(MdN新書、2021年)。共著に『命の重さ取材して―神戸・児童連続殺傷事件』(産経新聞ニュースサービス、1997)『教育再興』(産経新聞出版、1999)、『ブランドはなぜ墜ちたか―雪印、そごう、三菱自動車事件の深層』(角川文庫、2002)、学術論文に『新聞報道から読み解く馬英九政権の対日、両岸政策-日台民間漁協取り決めを中心に』(2016)など。 日本記者クラブ人会員。YouTube番組『吉村剛史のアジア新聞録』『話し台湾・行き台湾』(Hyper J Channel)等でMCを担当。
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