「人手不足」と外国人 (29)

「元不法滞在者」が証言する「ニッポン単純労働」現場の実態

執筆者:出井康博 2018年11月2日
エリア: アジア
今回は実名パスポートで入国したエディ(仮名)(筆者撮影)

 

 愛知県内の幹線道路沿いにポツンと建つ、古びた小さなビジネスホテル――。午後9時、そのホテルに1日の仕事を終えたインドネシア人男性が戻ってきた。

「久し振りだねえ! 元気だった? 出井さん、白髪が増えたね(笑)」

 9年ぶりに会ったエディ(仮名)は、以前にも増して日本語が達者になっていた。

 エディは元不法滞在者だ。筆者とは、日本に不法滞在して3年が経っていた2007年に出会った。彼の話は、月刊誌だった時代のフォーサイトの連載『2010年の開国 外国人労働者の現実と未来』第20回「不法滞在者『五年で半減』の実態を追う」(2009年5月号)にも寄稿した。そして記事が掲載された頃、エディは法務省入国管理局へ自ら出頭し、インドネシアに強制送還となった。そのとき、東京・品川の入管事務所まで付き添って以来の再会である。

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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