岩瀬昇のエネルギー通信 (108)

2019年原油価格:2018年「見誤り」から分析する「シェール」「先物」動向

(出所:『OPEC月報』2018年12月号)

 

 今回で連続5年目となる年初恒例の「原油価格見通し」を書き出すにあたり、これまでの4年分を読み返してみた。幸い2015年から2017年までの3年間は、大筋で外れていなかった。だが2018年は、筆者の予測とはまったく異なった展開となっている。何故だろうか(本文末尾に過去4回の記事リンクがあります)。

 まずは2018年の予測と実態の分析から始めよう。

上乗せされた「10ドルの地政学リスク」

「2018年原油価格:6月『閣僚会合』の『出口戦略』に注目せよ」(2018年1月9日)というタイトルの2018年予測は、2017年1月から始めた協調減産の効果が出始め、2017年末には、「過剰在庫を含めたリバランスが『視野に入ってきた』が、もう少し時間がかかるだろう、という段階にある」という現状認識から始まっている。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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