「政策論理」で分かる「IWC脱退」の意義

執筆者:鈴木一人 2019年1月8日
昨年9月、ブラジルで開催されたIWC総会。日本代表が出席するのは、これが最後となった (C)時事

 

 年の瀬も押し迫った2018年12月26日、政府は正式に国際捕鯨委員会(International Whaling Commission:IWC)を脱退することを発表した。この中で政府は、「条約に明記されている捕鯨産業の秩序ある発展という目的はおよそ顧みられることはなく、鯨類に対する異なる意見や立場が共存する可能性すらないことが、誠に残念ながら明らかとなりました」と述べ、IWCが本来あるべき機能を失い、別の国際機関へと変質したことを脱退の根拠に挙げている。

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執筆者プロフィール
鈴木一人(すずきかずと) すずき・かずと 東京大学公共政策大学院教授 国際文化会館「地経学研究所(IOG)」所長。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授、北海道大学公共政策大学院教授を経て、2020年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、編・共著に『米中の経済安全保障戦略』『バイデンのアメリカ』『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』『ウクライナ戦争と米中対立』など多数。
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