「君主号」の世界史
「君主号」の世界史(23)

「公方」と「皇帝」と「大君」

執筆者:岡本隆司 2019年2月9日
エリア: 日本
2人の「天下人」――豊臣秀吉(左)と徳川家康(右)――はいずれも、当時の外国から「皇帝」と呼ばれることがあった

 

 前回にみたとおり、外来漢語の「日本国王」は定着しなかった。やはり日本の風土になじまなかったのであろうか。それに対し、足利義満とその後継者たちの称号として、明らかに定着したのが「公方」である。

公方の盛衰と定着

 義満の到達した地位は、父祖からうけついだ将軍ばかりではない。公家のトップを占め、なおかつ独善的ではあれ、「太上天皇」号も称した。かれは単なる武門の棟梁ばかりではなく、公卿の首班をも超えた公権の第一人者である。「公方」はそれにふさわしい敬称として常用されるようになった。

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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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