岩瀬昇のエネルギー通信 (125)

「サウジアラムコ」CEOが投じた「問題提起」

この問題提起から議論が深まればよいのだが(中央がアミン・ナセルCEO)(C)AFP=時事

 

 若い友人たちと議論していると、将来のエネルギー需給に関する長期予測について、大手国際石油会社は「自分たちの利益」になるように作成しているのではないか、という疑念を心の奥底に持っている人が多いと感じる時がある。

 現実問題として、信頼性のある長期予測を発表しているのは、大手国際石油会社以外には「IEA(国際エネルギー機関)」や「OPEC(石油輸出国機構)」などに限られている。なぜなら、非常に多くの分野の、大量のデータを総合的に集計、分析、評価するためには、能力のある数多くの人材を投入する必要があり、膨大な費用がかかるからだ。その「膨大な費用」を正当化できる組織は決して多くない。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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