関西電力「高浜事件」は「NIMBY」から「KIMBY」への変質が原因

執筆者:後藤康浩 2019年10月3日
タグ: 日本 原発
エリア: アジア
ひたすら故人を「悪人」に仕立て逃げ切りを図ろうとしている八木会長(左)と岩根社長(C)時事
 

「関西電力」の八木誠会長、岩根茂樹社長ら幹部20人が総額3億2000万円に上る現金、金貨、金杯、商品券などを受け取っていた事件は、特別背任、脱税などに問われかねない悪質な内容であり、10月2日の記者会見で関電が公表した社内処分で済む話ではない。

 それ以上に、日本の原子力に与えた打撃はきわめて深刻だ。

「東京電力」の福島第1原子力発電所事故が原子力の技術的な信頼性を崩壊させたとすれば、関電の今回の“高浜事件”は、かろうじて残っていた原子力を担う人と組織への国民の信頼を吹き飛ばしたからだ。

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執筆者プロフィール
後藤康浩(ごとうやすひろ) 亜細亜大学都市創造学部教授、元日本経済新聞論説委員・編集委員。 1958年福岡県生まれ。早稲田大政経学部卒、豪ボンド大MBA修了。1984年日経新聞入社。社会部、国際部、バーレーン支局、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、中国総局(北京)駐在などを経て、産業部編集委員、論説委員、アジア部長、編集委員などを歴任。2016年4月から現職。産業政策、モノづくり、アジア経済、資源エネルギー問題などを専門とし、大学で教鞭を執る傍ら、テレビ東京系列『未来世紀ジパング』などにも出演していた。現在も幅広いメディアで講演や執筆活動を行うほか、企業の社外取締役なども務めている。著書に『アジア都市の成長戦略』(2018年度「岡倉天心記念賞」受賞/慶應義塾大学出版会)、『ネクスト・アジア』(日本経済新聞出版)、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(日本経済新聞出版)、『アジア力』(日本経済新聞出版)、『強い工場』(日経BP)、『勝つ工場』(日本経済新聞出版)などがある。
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