「香港」は誰に殺されるのか

執筆者:樋泉克夫 2019年10月15日
エリア: アジア
13日のデモでは爆弾が使用された(C)AFP=時事

 

「逃亡犯条例」改正問題に端を発し、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官をトップとする香港政府への不信・不満を経て拒否の姿勢を強く打ち出すに至った街頭行動は、開始から4カ月を経ても収拾への道筋が一向に見えそうにない。

 一時は下火に向かうかに見えたが、10月5日になって林鄭政権がデモ隊の覆面を禁止する「緊急状況規則条例」を発動したことで、再び過激化に転じた。若者の多くは様々な方法で顔面を覆い隠して街頭に繰り出し、反政府デモを展開する。もはや政府の権威は地に落ちたも同然であり、無政府状態一歩手前と言っても過言ではないだろう。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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