インド「RCEP交渉離脱」:「農村の困窮」で苦渋の決断

執筆者:緒方麻也 2019年11月11日
エリア: アジア
頓挫した世界最大の自由貿易圏構想(C)EPA=時事

 

 バンコクで開かれた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)首脳会議に出席していたナレンドラ・モディ首相は11月4日、同貿易協定が「2012年11月に合意した基本的理念を十分に反映しておらず、インドにとっての重大な懸念も解消されていない」として、交渉からの離脱を表明した。

 RCEPによって、中国などからの安価な農産物や工業製品が大量に流入することを警戒してのことだったが、政策上重要な経済パートナーである東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係強化を図る巨大貿易協定から土壇場で脱退したことは、グローバルな存在感を強めたかったインドにとってアジアでの孤立を招きかねない。国家の威信にも少なからず傷がついた格好だ。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
緒方麻也(おがたまや) ジャーナリスト。4年間のインド駐在を含め、20年にわたってインド・パキスタンや南アジアの政治・経済の最前線を取材、分析している。「新興国において、経済成長こそがより多くの人を幸福にできる」というのが信条。
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