ついに決着したインド「ヒンドゥー」「イスラム」泥沼所有権争い

執筆者:緒方麻也 2019年11月15日
タグ: インド
エリア: アジア
1992年の「モスク破壊」の様子(C)AFP=時事

 

 ヒンドゥー教神話の英雄・ラーマ王子の生誕地とされるインド北部・ウッタルプラデシュ州アヨディヤ。この地にあったモスク(イスラム礼拝所)を1992年にヒンドゥー右派勢力が「もとはラーマ寺院があった場所」として破壊して以降、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒が長年、土地の所有権を争っていた問題で、同国最高裁が11月9日、判決を下した。

 ラーマを祀る寺院再建を前提に、新たに設立する政府系財団に跡地を譲渡するよう命令するとともに、イスラム教徒団体には別途、代替用地を提供してモスクの再建を認める判決を言い渡した。ヒンドゥー教徒側の主張を認めつつイスラム教徒にも一定の配慮を示した形で、これにより流血と宗教間分断をもたらした紛争はようやく決着した。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
緒方麻也(おがたまや) ジャーナリスト。4年間のインド駐在を含め、20年にわたってインド・パキスタンや南アジアの政治・経済の最前線を取材、分析している。「新興国において、経済成長こそがより多くの人を幸福にできる」というのが信条。
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