新・マネーの魔術史:未来篇 (14)

加速する中央銀行の「仮想通貨発行」競争

執筆者:野口悠紀雄 2019年12月19日
タグ: 日銀
エリア: その他

 欧州連合(EU)がデジタル通貨の検討を始める。デジタル人民元はこれより先行している。日本の通貨主権が中国に握られる危険は、決して杞憂ではない。

デジタルユーロの検討が始まる

 EUは、12月5日、欧州中央銀行(ECB)によるデジタル通貨の発行を検討すると発表した。「経済財政理事会」での協議の後、欧州委員会との共同声明の形で発表した(『朝日新聞』)。

 どのような仕様になるかなどの詳細は、まだ分からない。

 ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は、12月2日、欧州議会でのスピーチで、中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入によって市民が日常の取引で中央銀行のマネーを使えるようになるだろうと語った。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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