新・マネーの魔術史:未来篇 (50)

「デジタル円」の利用料をゼロにできるか?

執筆者:野口悠紀雄 2020年9月10日
タグ: 日本
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

 CBDC(中央銀行デジタル通貨)の利用料金は、ゼロに近い必要がある。中央銀行がリテール段階まで担当すれば、必要費用を中央銀行が負担することにより、これが可能だ。ところが、デジタル円も含め、多くのCBDCは、リテール段階では既存の電子マネーを用いる。日本の電子マネーの著しく高い利用料金をゼロ近くに引き下げるには、利用履歴をビッグデータとして利用し、そこから収益を上げるビジネスモデルに転換する必要がある。

デジタル円の利用料はゼロである必要

 日銀券の利用料金はゼロだ。だから、利用料金をゼロに近くしなくては、デジタル円は成立しないと考えられる。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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