医療崩壊 (44)

世界の趨勢「頻回検査」しか新型コロナ拡大は防げない

執筆者:上昌広 2020年12月7日
エリア: アジア
11月25日、衆議院予算委員会で答弁する田村憲久厚労相(左手前)。だが、その中身は―― (C)時事

 

「ずっと帰省を控えていたのですが、親も高齢なので、この年末年始は故郷に帰省したいのですが、どうすればいいでしょうか」

 筆者が診療する「ナビタスクリニック新宿」を受診する患者から、このような質問を受けることが増えた。新型コロナウイルス(以下、コロナ)の第3波が拡大し、帰省中に年老いた両親にうつすことを心配するからだ。

 厚生労働省や自治体などから、「症状がある場合には外出を控えるように」と注意喚起されてはいる。しかし、コロナは無症状の感染者が少なからず存在する。本人が無症状であっても、帰省先の家族にうつす可能性は否定できない。

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執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
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