“15年前後で「社会主義強国」を建設”という金正恩の「見果てぬ夢」(4)「人間改造」まで要求する地方・細胞への徹底指導

執筆者:平井久志 2021年5月28日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
初めて開催した市・郡党責任書記講習会で指導する金正恩党総書記(『労働新聞』HPより、以下同)
金正恩党総書記が末端幹部まで招集して自ら指導する――従来の上意下達を超えた“直接支配”の中身とは。

 朝鮮労働党は3月3日から6日までの4日間、平壌の党本部で「第1回市・郡党責任書記講習会」を開催した。労働党が全国の市・郡のトップである「責任書記」を一堂に集めて会議をするのは初めてであった。分かりやすく言えば、全国の市長・郡長クラスを集めて、第8回党大会の決定を貫徹するための初の講習会を行ったということなのである。

初開催された各自治体トップへの“直接講習”

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は初日に「開講の辞」を述べ、2日目には「綱領的な結論」を語り、4日目には「閉講の辞」を述べ、終了後に参加者と記念写真を撮るなど連日の指導を行った。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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