新・日本人のフロンティア (13)

東京オリンピックから振り返る世界と日本(下)

執筆者:北岡伸一 2021年10月23日
カテゴリ: 社会 スポーツ 政治
8月8日、東京五輪閉会式のフィナーレで、国立競技場には「ARIGATO」の文字が(C)時事
東京オリンピック・パラリンピックでのアジア諸国の躍進の裏には、長年にわたるJICAの貢献が大きかった。さらに今後考えていかなければならないのは、ベルリン以来つきまとう、オリンピックとナショナリズムの関係だ。

 オリンピックで目立ったのは、アジアの中で、従来からスポーツ大国として知られていた中国、韓国、日本以外の国々が台頭したことである。

躍進著しい東アジアの国々

 1つは台湾である。

 台湾の選手が柔道で初めてメダルを取った。台湾のように日本と縁の深い国で、なぜ初めてなのか、ちょっと不思議だった。野球でいえば、戦前の中等学校野球での嘉義農林の活躍は語り伝えられており、スポーツの伝統はあったのに、最近まであまり振るわなかった。

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執筆者プロフィール
北岡伸一(きたおかしんいち) 東京大学名誉教授。1948年、奈良県生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連代表部次席代表、国際大学学長等を経て、2015年より国際協力機構(JICA)理事長、2022年4月よりJICA特別顧問。2011年紫綬褒章。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『独立自尊―福沢諭吉の挑戦』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』、『外交的思考』、『世界地図を読み直す』など。
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