みずほFG行政処分、実は「大甘」と言える理由

IN-DEPTH【ニュースの深層】

執筆者:浪川攻 2021年12月8日
「経営責任の明確化」が単なる“トップのすげ替え”で終わりはしないか ⓒ時事
国際決済システムを破壊しかねない不祥事だが、皮肉にもその重大さゆえに「業務停止」を免れた。みずほFGはこれで業績悪化を回避でき、株主の追及を躱せてしまう。根源のガバナンス問題は何も解決していない。いま、株主に求められる「仕事」とは――。

 金融庁は悩み続けたにちがいない。システム障害を繰り返したみずほフィナンシャルグループ(FG)への行政処分である。結局、金融庁は11月26日、「経営責任の明確化」を迫り、坂井辰史・同社社長などを引責辞任に追い込んだが、そこには、金融庁の苦しい胸中が垣間見える。

 年間8度という前例を見ないシステム障害の発生から透けて見えたのは、取締役会の機能不全ぶりだった。金融庁は極めて厳しいトーンをもって「日本の決済システムに対する信頼性を損ねたと考えられる」と行政処分の文中で断罪した。

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カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
浪川攻(なみかわおさむ) 1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌などで編集・記者として活躍し、2016年4月フリーに。著書に『証券会社がなくなる日 IFAが「株式投資」を変える』『ザ・ネクストバンカー 次世代の銀行員のかたち』(以上、講談社現代新書)、『地銀衰退の真実 未来に選ばれし金融機関』(PHPビジネス新書)、などがある。
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