仕組み債なる「債券もどき」を売った販売会社の罪と罰

IN-DEPTH【ニュースの深層】

執筆者:浪川攻 2022年11月11日
タグ: マネー
金融庁資料には「高めの利子が得られる債券と誤認」「顧客の真のニーズに沿った販売が行われていない」との文言が[編集部撮影]
実質売買手数料が見えないことだけ「債券的」な商品が、なぜか債券のフリをして売られる奇怪。仕組み債は商品先物取引などと同様に、「不招請勧誘の禁止」対象として一般投資家への“お勧め”を禁じるべきだ。

 懸念の声には一向に耳を貸さずに売り続けたにもかかわらず、金融庁の厳しいモニタリングが始まるや、相次いで突然の販売停止を決定――。オプション搭載のハイリスク商投資商品、いわゆる「仕組み債」問題の顛末である。販売会社に経営上の思慮があったようには感じられない。慌てて蛸壺に身を隠しただけのようだ。

 仕組み債はオプション取引を搭載したことによって、原資産である債券の安定性・安全性という特性はほぼ消えているのだが、債券、なかでもすでに流通市場で売買されている既発行債券の特徴である「手数料概念のなさ」だけは生かした。したがって、販売会社は公募仕組み債の目論見書に以下のような説明を記してきた。

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カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
浪川攻(なみかわおさむ) 1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌などで編集・記者として活躍し、2016年4月フリーに。著書に『証券会社がなくなる日 IFAが「株式投資」を変える』『ザ・ネクストバンカー 次世代の銀行員のかたち』(以上、講談社現代新書)、『地銀衰退の真実 未来に選ばれし金融機関』(PHPビジネス新書)、などがある。
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