日本は長い間、アジア以外での紛争に関与することに慎重だった。しかし今回のウクライナ侵攻を受け日本政府は、国際的に承認されている国境線を力によって変更させてはいけないと、アメリカやヨーロッパ諸国と足並みをそろえ、ロシアに対する経済制裁に踏み切った。
「もし国際社会がロシアによるウクライナ侵攻を何らかの形で容認したり見逃したりすれば、インド太平洋を含む他の地域に対し、このような行動が許容されるという間違ったメッセージを送ってしまうおそれがある」。5月初め、岸信夫防衛大臣はワシントンポストにこのように語った。そして“正しいメッセージ”を伝えるため、岸田文雄総理大臣は、ロシア中央銀行が日銀に持つ数百億ドル(数兆円)の円建て外貨準備の凍結や、ロシアの特定銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除すること、政権幹部やオリガルヒ(新興財閥)の資産凍結、さらに軍事転用可能な先端技術の輸出規制や、ロシア産石炭や石油の輸入を段階的に削減することなども掲げている。
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