西銘順治:「米国にとってプラス」と評価された「保守県政」

執筆者:野添文彬 2022年7月10日
タグ: 日本
エリア: アジア
那覇市民会館で開かれた復帰10周年記念式典(C)時事
日本復帰から10年を迎えた1982年、西銘順治は知事選に再選するも、県民の基地問題への反発は高まっていった。そこで講じたのが、米政府高官との直接対話という奇策。西銘の渡米はいかに評価されたのか。

 

肯定的に捉えられるようになった「復帰」

 1982年5月15日、沖縄は日本復帰10年を迎えた。那覇市民会館で行われた沖縄県主催の復帰10周年記念式典で、西銘順治は「この10十年間で県勢は各分野で目ざましい発展を遂げた」と評価する一方、「今なお、本土との格差が存在し、自立発展の基礎的条件整備も遅れており、今後とも解決すべき課題は多い」とも指摘した¹

 西銘県政の誕生に見られる沖縄の保守化は、復帰への評価にも反映された。

カテゴリ: 政治
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
野添文彬(のぞえふみあき) 沖縄国際大学法学部 地域行政学科准教授。1984年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、同大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は国際政治学、日本外交史、沖縄基地問題。主な著書に『沖縄返還後の日米安保: 米軍基地をめぐる相克』(吉川弘文館/2016年)、『沖縄米軍基地全史』(吉川弘文館/2020年)がある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top