多神教世界の神は、暴れ回る力が強いほど尊ばれた。丁重に祀れば、恵みをもたらす神に裏返ると信じられていたからだ。この理屈から言えば、スサノヲ(素戔嗚尊)は日本最強の神として称えられるべきだったが、神話の中で簑笠を着せられ、蔑まれた。これは、スサノヲが8世紀の朝廷の政敵だったことを暗示している。スサノヲは、単純な架空の存在ではない。それどころか、ヤマトの王家の祖神の誕生に、深くかかわっていたようなのだ。
天皇家の祖神を生んだスサノヲ
天皇家の祖神はアマテラス(天照大神)とスサノヲの誓約[うけい](誓いを立てて神意を占うこと)で生まれた。経過は以下の通り。
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