新・日本人のフロンティア (20)

歴史ある「親日国」への新たな協力の可能性:ポーランドとモルドヴァ

執筆者:北岡伸一 2023年3月10日
タグ: 日本
エリア: ヨーロッパ
ポーランド日本情報工科大学で講義を行う筆者(写真提供・JICA、以下同)
体制変革以後、順調な発展を遂げてきたポーランドだが、昨今はウクライナ支援や避難民受け入れの負担も大きい。明治以来の関係を振り返り、これからの新たな協力の可能性を探る。
 
 

 昨年10月にポーランドに行った。ポーランドは人口約3800万人で、ヨーロッパではロシアを除けば、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スペイン等に次ぐ大国である。面積では32万平方キロで日本より少し狭いが、ヨーロッパの中では、旧ソ連圏を除けば、フランス、スペイン、スウェーデン、ドイツ、フィンランド、ノルウェーに次ぎ、かなり大きい方だ。また、一人当たりGNI(国民総所得)で1万6850ドル(2021)であり、もはや援助対象国でないのはもちろん、すでにOECD(経済協力開発機構)加盟国である。

 しかし、ロシアのウクライナ侵攻で大量のウクライナ避難民を受け入れており、それが大きな負担となっているので、特別に援助対象国とする可能性がある。その可能性を探り、また、かつて日本が協力したポーランド日本情報工科大学 やその他の日本研究者との交流を深めるために、訪問することにした。……

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執筆者プロフィール
北岡伸一(きたおかしんいち) 東京大学名誉教授。1948年、奈良県生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連代表部次席代表、国際大学学長等を経て、2015年より国際協力機構(JICA)理事長、2022年4月よりJICA特別顧問。2011年紫綬褒章。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『独立自尊―福沢諭吉の挑戦』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』、『外交的思考』、『世界地図を読み直す』など。
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