「総合芸術」的な国際研究組織「OIST」の全貌(上)

執筆者:鈴木崇弘 2023年3月24日
タグ: 日本
エリア: アジア
ノーベル賞受賞者も出した、科学技術系の沖縄科学技術大学院大学(「OIST」HPより)
設立から10年を過ぎ、ノーベル賞受賞者も出した科学技術系の大学院大学「OIST」。世界的に評価の高い研究機関だが、その研究レベルを実現する体制についてはあまり知られていない。社会科学者として約2カ月半、OISTで滞在研究した筆者による、多面的なOIST分析。

 世界が大きく変わる中、「変わらない」あるいは「新しい可能性がない」といわれる日本。だが、そんな日本でも、従来の組織とは大きく異なり、国際的にも評価され、日本社会に新しい可能性を生みつつある組織がある。

 それが、沖縄科学技術大学院大学(OIST)だ。OISTは、昨年同大からノーベル賞受賞者を出したり(スバンテ・ペーボ教授が生理学・医学賞を受賞)、研究機関のランク付けなどで世界的権威のあるNature Indexの2019年版「質の高い研究機関ランキング」(表1参照)で9位に入るなど、国際的にも研究成果が評価され、注目が集まりつつある博士課程のみの大学院大学である。……

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執筆者プロフィール
鈴木崇弘(すずきたかひろ) 城西国際大学大学院研究科特任教授、早稲田大学総合研究機構総合政策科学研究所招聘研究員。専門は公共政策や社会システム。東京大学法学部卒。イーストウエスト・センター奨 学生としてハワイ大学等に留学。設立に関わり東京財団・研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、設立に関わり自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」 の理事・事務局長、中央大学大学院公共政策研究科客員教授、厚生労働省総合政策参与、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)事務局長付(情報統括)、城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科教授・研究科長、沖縄科学技術大学院大学客員研究員などを経て現職。PHP総研客員研究員等も務める。主な著書は『日本に「民主主義」を起業する』(第一書林)『シチズン・リテラシー』(教育出版)等。
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