「みんな平等なはずなのに、俺はなぜ落ちこぼれるのか」という問いの根源|佐伯啓思の「現代文明論講義」Vo.2

執筆者:論壇チャンネルことのは 2023年5月4日
カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
自由主義と平等主義がもたらしたフラットな社会。その画一化が一層進んだ大衆社会では、人間の生は次第に不安定になって行く。そこでフェイクが大半を占める過剰な情報に晒されつつ、「自由だからもっと好きなことをやらせてほしい、でも誰かが俺の自由を奪っているじゃないか」という強い不満を持つ人間は生まれてくる。(聞き手・岩田泰征 京都大学総合人間学部在籍)

*佐伯啓思氏の講義をもとに編集・再構成を加えてあります。

 

「大人」がいなくなった

岩田泰征 オルテガは大衆社会の特徴を「学校から抜け出した子供の大騒ぎ」と表現しました。実際に、社会を支える規律、規範が、既得権益打破とかポリティカル・コレクトネスの名のもとに解体され、誰も大人になれない世の中が到来していると思います。「文藝春秋」の2023年1月号にお書きになった『「日本の自殺」を読み直す』という論考でも、エリートの没落や大衆社会の幼稚さに触れていらっしゃいました。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
論壇チャンネルことのは(ろんだんちゃんねることのは) 文明・人間・日本を語る「動画の論壇誌」として、2021年11月より有料放送を開始致しました。現代日本を代表する論客の番組を多数配信し、新たな時代の思想の地平を切り開いていきます。YouTubeメンバーシップ月額1190円で、ライブ放送やアーカイブ動画等がご利用になれます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.kotonoha-rondan.com/
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top