
欧州議会選挙の結果を祝って「エステラーダ」旗(カタルーニャ独立派の旗)を掲げる「ジュンツ・パル・カタルーニャ」のメンバーたち[2019年5月27日、スペイン・バルセロナ](C)Reuters
[バルセロナ/マドリード発(ロイター)]暫定首相である社会労働党(POSE)党首、ペドロ・サンチェスが左派連合政権を維持するには、カタルーニャ共和左派とジュンツの計14議席が不可欠だ。だが、カタルーニャ独立派の歩み寄りがなければ、再選挙を免れ得ない可能性がある。
独立に関してより強硬派であるジュンツは、総選挙で7議席を獲得した。選挙翌日、首班指名でサンチェスに投票するには、政府がカタルーニャ地方の独立に向けた住民投票を認め、2017年に不承認となった住民投票にまつわる混乱で罪に問われた活動家を恩赦することが必要だとの立場を明らかにしている。
ジュンツは2017年、カルレス・プチデモン元カタルーニャ州首相を代表として設立された。プチデモンは現在、この時の独立運動を扇動したとして、スペイン司法当局から国際手配されており、身柄の拘束を避けるためにベルギーで生活している。
ジュンツに代わって現在カタルーニャ州議会を支配するERCも総選挙で7議席を獲得した。ERCは2020年、カタルーニャ問題を議論することを条件にサンチェス支持にまわり、首相再任に寄与。ジュンツとは対照的に、サンチェスの法案に賛成したこともある。今回、サンチェスへの支持を続けるには、州と国との関係改善、国庫の財政負担の軽減、州内鉄道の経営権移譲を条件としている。
ジュンツ所属のカタルーニャ州議会議員ラモーン・トレモーザは、「『ステーキを寄越すか再選挙か』の選択」だとして、サンチェスが従来よりも大きな歩み寄りを見せない限り再選挙は免れないと指摘する。またサンチェスの社会労働党には、まずは何か象徴的な態度を示すことから始めても良いのではないかという声がある。たとえば、EU議会でのカタルーニャ語の使用を認めるなどだ。
ジュンツ副代表で2017年当時プチデモンの首席補佐官を務めていたジョセップ・リウスは、ジュンツの要求は明確だと語る。つまり「国の承認があり、結果が尊重され、検証可能な独立を問う住民投票の実施」だ。
だが、住民投票を認めることは、それ自体がスペイン国内で大きな問題を引き起こす。これまでのサンチェスの決定、つまり2017年の独立運動に関連し州副首相だったウリオル・ジュンケラスら9人に対して検察が求めた反逆罪を適用せず、2021年に9人の恩赦を決定したことは、多くの有権者にとって忌まわしいものだからである。「ユーロ域で4番目の経済大国であるスペインが、犯罪者や『スペインに関心がない』と語る政治家の影響を受けてはならない」。総選挙で第一党となった中道右派の国民党党首、アルベルト・ヌニェス・フェイホーは選挙の翌日語っている。
フェイホーもまた連立政権の樹立を目指しているが、フェイホーを支持すれば極右政党VOXを政権に招き入れることになると見られており、すでに複数の地域政党は彼を支持しないと表明している。……

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