【再掲】マクロン「台湾発言」とは何だったのか

執筆者:鶴岡路人 2023年12月23日
エリア: アジア ヨーロッパ
対中抑止メッセージの観点では、発言は極めて不用意であり、危険だった[中山大学で講演するマクロン大統領=2023年4月7日、広州市](C)AFP=時事
文脈を理解すれば戦略的自律の原則論であり、それは欧州で概ね受け入れられている立場でもある。「欧州のため」との体裁で事前調整なしにさまざまなものを打ち上げ、結果として欧州の結束をより困難にしてしまうマクロンの「いつもの問題」が最悪のタイミングで顔を出したが、発言は意図せざるプラスの効果ももたらした。 ※2023年5月5日公開の記事を再掲します

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、2023年4月上旬に中国を国賓として訪問した後、フランスへの帰国の飛行機の中で一部メディアとのインタビューに応じ、そのなかで、「台湾の問題をエスカレートさせることは我々の利益になるのか? ならない」、「我々の問題ではないものに巻き込まれる危険がある」、「米国の家来にはならない」などと述べた。

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執筆者プロフィール
鶴岡路人(つるおかみちと) 慶應義塾大学総合政策学部准教授、戦略構想センター・副センター長 1975年東京生まれ。専門は現代欧州政治、国際安全保障など。慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院法学研究科、米ジョージタウン大学を経て、英ロンドン大学キングス・カレッジで博士号取得(PhD in War Studies)。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)、米ジャーマン・マーシャル基金(GMF)研究員、防衛省防衛研究所主任研究官、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛・安全保障研究所(RUSI)訪問研究員などを歴任。著書に『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)、『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『模索するNATO 米欧同盟の実像 』(千倉書房、2024年)、『はじめての戦争と平和』(ちくまプリマ―新書、2024年)など。
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