Weekly北朝鮮『労働新聞』 (44)

3回目のICBM発射は「試験」ではなく「訓練」――実戦配備を誇示(2023年12月17日~12月23日)

執筆者:礒﨑敦仁 2023年12月25日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
金正恩国務委員長は訓練結果に「大きな満足」を示したと伝えられた(『労働新聞』HPより)
金正恩国務委員長の参観のもと12月18日に行われた「火星砲18」型の発射は、今年4月と7月に続いて3回目のICBM発射となった。過去2回は「試験発射」としていたのに対して、今回は「訓練」と表記、実戦配備をアピールしている。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 

 17日付1面は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の死去12年に際して錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を訪れたとの報道であった。朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会メンバーの金徳訓(キム・ドックン)、趙甬元(チョ・ヨンウォン)、崔龍海(チェ・リョンヘ)を筆頭に多くの幹部が随行したが、全体として軍服姿の人物は少ない。第2面には関連社説が載り、第4面には「偉大な金正恩時代に強盛繫栄する祖国をわれわれの将軍様(注:金正日)がご覧になればどんなに喜ばれるだろうか」と題して、経済建設や兵器開発での成果を誇る数々の写真が掲載された。

 19日付は、ICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星砲18」型の発射訓練を金正恩が「参観」したとの報道が3ページを使って掲載された。3段式固体燃料推進方式の「火星砲18」型発射は、4月13日、7月12日に続く3回目となったが、前回までの「試験発射」(発射実験)と異なり、今回は「訓練」と表記されたため、この新型ICBMが既に実戦配備されているとの事実を誇示したことになる。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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