在留クルド人の故郷「ガズィアンテップ」現地レポート(後編)|海外でのマフィア化に警鐘も

執筆者:三好範英 2024年7月14日
エリア: 中東
ガズィアンテップ市の町並み。現在、同市の人口の40%以上がクルド人だという(以下、写真はすべて筆者撮影=2024年5月29日)
クルド人に対する政治的迫害は存在するか? その問いに対する答えは、トルコで取材する相手の属性――トルコ人かクルド人か、与党支持者か野党支持者か、都会人か地方人か――によっても変わってくる。トルコ政府の政策はクルド人の権利を拡大する方向で進む一方、「クルド労働者党」(PKK)は依然としてテロ組織に指定されており、現地でも同党への警戒心は強かった。

 ガズィアンテップ市周辺の取材を終えた翌日、ある援助団体に紹介してもらい、市内のこの援助団体事務所で、歴史教師の男性のクルド人(34歳)の話を聞いた。北東に約100キロ離れたアドゥヤマン生まれで、ガズィアンテップ大学を卒業した、都市在住の中間層の人と言っていいのだろう。

 日本に2回行ったことがあると言い、川口、蕨市で起きている問題についてもよく知っていたが、考え方は村人たちとは正反対だった。

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カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
三好範英(みよしのりひで) 1959年東京都生まれ。ジャーナリスト。東京大学教養学部相関社会科学分科卒業後、1982年読売新聞社入社。バンコク、プノンペン特派員、ベルリン特派員、編集委員を歴任。著書に『本音化するヨーロッパ 裏切られた統合の理想』(幻冬舎新書)、『メルケルと右傾化するドイツ』(光文社新書)、『ドイツリスク 「夢見る政治」が引き起こす混乱』(光文社新書、第25回山本七平賞特別賞を受賞)など。最新刊に『移民リスク』(新潮新書)。
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