カウントダウン「量子コンピューティング3.0」――実用化のカギは「誤り訂正」|武田俊太郎・東京大学大学院工学系研究科准教授(1)
長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、量子コンピュータ実用化に向けた課題について、東京大学大学院工学系研究科准教授の武田俊太郎氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
スタートアップも続々と参入
──量子コンピュータ研究開発の最前線では、今、何が起きているのでしょうか。
「ここ数年、急速に競争が激化しつつあります。量子コンピュータを作るには、いくつかの方式があります。それぞれの方式の研究開発のフィールドで、企業、アカデミアなど、さまざまなプレイヤーがしのぎを削っています」
「量子コンピュータの研究開発のスピードは年々加速しています。これは、長年にわたる量子コンピュータの基礎研究の積み重ねにより、実用化が期待できるレベルのハードウェアを作れるようになったためです」
「量子コンピュータに注目が集まるようになったのは、2010年代半ば頃です。2014年にGoogleが本格的に量子コンピュータの開発を開始し、2019年には超伝導回路方式と呼ばれる方式の量子コンピュータで、特定の計算でスパコンを超越する機能を実現し、話題になりました」
「それまで、量子コンピュータの研究開発は、大学や研究機関による基礎研究が主でした。しかし、Googleの量子コンピュータ業界への参入やその成果を目にした企業は、遅れてはならないと量子コンピュータの開発に着手。スタートアップも次々に誕生しました」
「各国も、量子コンピュータの研究開発に対して莫大な予算をつけるようになりました。こうして、量子コンピュータ業界は盛り上がり、研究開発のスピードが加速していったのです」
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