ポイント・アルファ (13)

カウントダウン「量子コンピューティング3.0」――実用化のカギは「誤り訂正」|武田俊太郎・東京大学大学院工学系研究科准教授(1)

執筆者:関瑶子 2024年11月7日
エリア: アジア
量子コンピュータはいま、第2次ブームの真っただ中だとされている。社会実装が加速する「3.0」の時代を目指し、5つのメインストリームの研究がしのぎを削る状況だ。米カリフォルニア大学と提携していち早く研究開発を始めたGoogleの「超伝導回路方式」が先陣を切っていると見られるが、まだ乗り越えなければならない壁も存在する。(聞き手:関瑶子)

 長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、量子コンピュータ実用化に向けた課題について、東京大学大学院工学系研究科准教授の武田俊太郎氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。

スタートアップも続々と参入

──量子コンピュータ研究開発の最前線では、今、何が起きているのでしょうか。

「ここ数年、急速に競争が激化しつつあります。量子コンピュータを作るには、いくつかの方式があります。それぞれの方式の研究開発のフィールドで、企業、アカデミアなど、さまざまなプレイヤーがしのぎを削っています」

「量子コンピュータの研究開発のスピードは年々加速しています。これは、長年にわたる量子コンピュータの基礎研究の積み重ねにより、実用化が期待できるレベルのハードウェアを作れるようになったためです」

「量子コンピュータに注目が集まるようになったのは、2010年代半ば頃です。2014年にGoogleが本格的に量子コンピュータの開発を開始し、2019年には超伝導回路方式と呼ばれる方式の量子コンピュータで、特定の計算でスパコンを超越する機能を実現し、話題になりました」

「それまで、量子コンピュータの研究開発は、大学や研究機関による基礎研究が主でした。しかし、Googleの量子コンピュータ業界への参入やその成果を目にした企業は、遅れてはならないと量子コンピュータの開発に着手。スタートアップも次々に誕生しました」

「各国も、量子コンピュータの研究開発に対して莫大な予算をつけるようになりました。こうして、量子コンピュータ業界は盛り上がり、研究開発のスピードが加速していったのです」

カテゴリ: IT・メディア
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執筆者プロフィール
関瑶子(せきようこ) ライター・ビデオクリエイター 早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。You Tubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。
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