香港CKハチソン「パナマ運河権益」売却を中国が“公開非難”、企業の板挟みが鮮明に

IN-DEPTH【ニュースの深層】

執筆者:高口康太 2025年3月18日
エリア: アジア 北米 中南米
運営権売却の取引が差し止められる可能性も考えられる[パナマ運河入口のバルボア港。CKハチソンが運営する=2025年3月12日](C)AFP=時事
中国政府は米国からの圧力による事業売却に強く反発している。これまで企業には内々での指示が出されていたが、“公開”で意向を示したのは極めて異例だ。「Tik Tok」の北米事業売却問題に波及する可能性も。

 香港のCKハチソン・ホールディングス(長江和記実業)によるパナマ運河の港湾事業売却を中国共産党が非難し、注目を集めている。

 ドナルド・トランプ大統領はパナマ運河を米国に取り戻すと公言している。軍事介入のシナリオまで検討していると報じられているが、実際にどのようなアクションが起き、どのような結末を迎えるのか、現時点ではまったく想像しえない。

 こうした中で先手を打ってリスク回避の動きを示したのが、パナマ運河の重要港湾運営権を持つ香港企業CKハチソンだ。同社は3月4日、子会社ハチソン・ポート・ホールディングスが持つパナマ運河の港湾事業運営権の90%と、世界23カ国で港湾事業を営む子会社・関連会社の80%の実質的支配権益を、米投資会社ブラックロックが主導する投資家連合に売却すると発表した。

 CKハチソンの創業者、李嘉誠(り・かせい)は中華圏を代表する大富豪だ。さすがの見切りと思われたが、意外なところから批判の声が上がった。

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カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
高口康太(たかぐちこうた) 1976年、千葉県生まれ。ジャーナリスト、千葉大学客員教授。千葉大学人文社会科学研究科博士課程単位取得退学。中国・天津の南開大学に中国国費留学生として留学中から中国関連ニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。中国経済と企業、在日中国人経済を専門に取材、執筆活動を続けている。 著書に『ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界 』(文春新書、共著)、『幸福な監視国家・中国』(NHK出版、共著)、『中国S級B級論』(さくら舎、共著)、『プロトタイプシティ 深圳と世界的イノベーション』(KADOKAWA、共編、大平正芳記念賞特別賞受賞)、『中国「コロナ封じ」の虚実 デジタル監視は14億人を統制できるか』(中公新書ラクレ)、『習近平の中国』(東京大学出版会、共著)など。
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