中国、インド、ブラジル、ロシアの新興経済大国「BRICs」に次ぐ世界経済の担い手として、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の存在感が高まるのは間違いない。だが政治的には、同地域の一体感は薄れていくだろう。 ASEANに遅れて加盟したカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの四カ国を「後発国」と一括りにはできない。ベトナムが頭一つ抜け出し、タイ、インドネシア、マレーシアなどの「先発国」と存在感で肩を並べるのは確実だ。 この結果、域内の外交力学は劇的に変わる。ベトナム国内で民主化圧力が高まる気配はなく、同国共産党の統治力は衰えそうもない。同じ政治体制の中国の舞台裏での影響力は、必然的に高まる。

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