米国家情報会議が二〇〇八年十一月に作成した報告書「グローバル・トレンド二〇二五」は、二〇二五年のサハラ砂漠以南アフリカについて「世界的な原材料の需要増加にもかかわらず、人口の大部分は資源からの収入増、それによる大きな経済的利益の恩恵を受けることはないだろう」と悲観的な予測を示している。経済が急成長しているアフリカだが、所得格差は拡大の一途であり、二十年後も世界で最も脆弱かつ不安定な地域であることに変化はなさそうだ。 今日のアフリカの成長は、中国やインドなど新興国の資源需要増という外的要因に牽引されている。アフリカ側のガバナンスの改善によって内発的に始まった成長ではないことは、スーダン、アンゴラ、赤道ギニアなど政治腐敗が深刻な産油国ほど成長率が高いことを見れば分かる。

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