国際論壇レビュー
国際論壇レビュー

新米大統領で注目される米欧関係とヨーロッパの今後

 本稿が読者の手許に届くときにはすでにアメリカの新しい大統領が決まっているだろう。アメリカが新体制のもとでいかなる世界政策を実行するか。これは大問題である。いっぽう、日本ではあまり注目されていないが、ヨーロッパもまた、新たな変革・調整の時期を迎えている。今回は、米欧関係とヨーロッパの今後について焦点をあててみたい。 まず米欧関係についていうと、大統領選の終盤に、ブッシュ候補がバルカンからのアメリカ軍の撤退の可能性に言及したことが、将来の北大西洋条約機構(NATO)のあり方についての議論を誘発した。アメリカのヨーロッパ関与について「構造的不安定」ともいうべきものが生まれてくるのではないかというのである。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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