中国GDP成長率の信憑性をめぐる議論が活発化しているが、疑問符がつくのは国際収支の実態も同じ。「分からない部分」に隠れた要素が、中国社会と国際経済の見えざる混乱要因になる可能性もある――。 この法則は覚えておいて損はない。a×b=七〇となる場合、a%成長をb年続ければ全体の量はほぼ倍になる。たとえば一〇%の金利がつく金融商品は、七年後には二倍になる。これが七%なら十年後、五%ならおよそ十四年かかる計算になる。 めざましい経済建設を続けている中国は、七%成長を十年続けて経済規模を現在の二倍にすることを目指している。このことは、第十次五カ年計画でも高らかにうたわれている。この意欲的な計画が達成されることを疑う者は、すでにエコノミストの間でも少数派だ。論より証拠、天安門事件の余波で経済が低迷した一九九〇年前後を除けば、中国経済は一貫して七%以上の成長率を続けてきた。

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