二代続いた社長人事失敗で三井物産は沈むのか

執筆者:安西巧 2002年10月号
タグ: 日銀 イラン 日本

「本当は自由に人と話したかった」。九月四日の辞任会見で三井物産社長の清水愼次郎が目を潤ませながら語ったこの一言が、その人柄と器量を最もよく表していた。 大企業の社長が慎重かつ冷静な発言を求められるのは当然であり、そうした様々な制約を踏まえた上で、トップとしての意向や理念を社内外に発信していくことが、現代の経営者の重要な資質のはず。証券アナリストへの決算説明会に社長自ら出席するのが珍しくもない昨今、ましてや「グローバル企業」として自他ともに認める代表銘柄だった物産の社長がこんな泣き言を吐くとは、意外感を通り越して呆れるほかない。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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