「色の革命」は褪せたのか――旧共産圏の「民主化」と「親欧米」
旧ソ連の小国グルジアで起きた今回の政権交代は、2000年代前半に旧共産圏諸国を席巻した民主化運動の終焉を意味しているのだろうか。 2000年、セルビアの独裁者ミロシェヴィッチ大統領を市民運動が退陣に追い込んだのが、一連の民主化の幕開けだった。続いて2003年、グルジアで市民がバラの花を手に集まり、腐敗の著しいシェワルナゼ政権を倒す「バラ革命」が起きた。2004年にはウクライナで「オレンジ革命」が起き、オレンジ色をシンボルカラーに抱いたユーシェンコ民主政権が誕生した。これらの無血革命は「色の革命」「花の革命」と総称され、2005年キルギスの「チューリップ革命」から、2011年チュニジアでの「ジャスミン革命」、さらにはアラブ各国での独裁終結へとつながる大きな流れを築いた。 その熱気は今、地元ですっかり冷めたように見える。ウクライナでは2010年、オレンジ革命で打倒したはずの親露派ヤヌコヴィッチ氏が大統領に当選し、大幅な揺り戻しが起きている。セルビアでは今年5月、ミロシェヴィッチ元大統領下で副首相を務めた右翼のニコリッチ氏が大統領に当選した。

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