堕ちゆく世界の迷走
(41)
「午年の地経学リスク」が日本を襲う
年が明けて、全世界が突然の寒波と豪雪に見舞われたようだ。新興国通貨の急落と先進国をも飲み込む株安の連鎖。米金融緩和の幕引きに伴う新興国からのマネーの引き揚げに加え、いや応なく意識させられるのは中国の長い影である。
第1次世界大戦当時、英独は多くの経済的な関係があったのにもかかわらず、大戦に至った歴史的経緯があった。このようなことにならないようにしなくてはいけない――。
安倍晋三首相は1月22日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、外国メディア関係者にそう述べた。第1次世界大戦に言及したことは、欧米とくに欧州のメディアを刺激した。さっそく、「首相が武力衝突は論外だと明言しなかった」(英紙『フィナンシャル・タイムズ』)、「首相は日中が1914年の英独に似ていると認識している」(英BBC放送)などと、第1報が流れた。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン